リファイニング建築

シャトレ信濃町

リファイニング建築

動画あり

既存建物竣工年
1971年
リファイニング竣工年
2022年5月
延床面積
2,605.81㎡
用途
集合住宅
構造規模
鉄骨鉄筋コンクリート造 一部、鉄筋コンクリート造 地上10階
所在地
東京都新宿区信濃町3-1
既存建物資料の有無
確認済証:あり 検査済証:あり 既存図面:あり 既存構造計算書:あり

既存のボリュームを維持しながら機能向上を行うカーボンニュートラルなリファイニング建築

1.リファイニングという選択
昭和46年に新築された本建物は現行基準に対し耐震性能の不足という問題を抱えていた。解体して建替えると既存不適格の既存建物と同じボリュームを新築できずに事業性を確保できない。耐震改修を行うとしても凡庸な手法ではブレースで住戸の窓を塞いでしまい居住性能を損う恐れがある。オーナーは数社から提示されたこのような選択肢に苦慮した後にリファイニング建築をという手法を知り当社に依頼があった。この年代の建物に対しては耐震性能だけではなく居住性能、耐用年数、事業性等を含め総合的な価値を上げる設計手法が求められる。
また、新築や建替えと比較しCO2排出量72%減という研究結果により、カーボンニュートラルなリファイニング建築を体現した。

2.重量床遮音性能
築古建物の弱点である床遮音性能(重量床衝撃音)の向上に取り組んだ。既存のスラブ厚120mmに対して重量増となるコンクリート増打ち等は構造上できないため、主に天井裏に施工した軽量な粒状衝撃音低減材(フクビ化学工業製サイレントドロップ)による性能向上を計画した。施工前後で測定試験を行い既存建物と比較して約1~2ランクの遮音等級の向上が認められた。(施工前測定:LH-65~60、施工後測定:LH-55~50)

昭和46年に新築された既存建物外観

新築時より維持されてきた庭園を残しながら透明性のある現代的なファサードとした新規外観

室内化した階段室やバルコニー手摺から柔らかく光が漏れる夕景外観

既存水盤

水平線を強調した低くフレーミングされた新規水盤は南側庭園の表情を映し出す

水盤から差し込む自然光と間接照明が創り出す落ち着きのあるエントランスホール

ダイナミックに天然石を壁面に取り入れたエレベーターホール

シックな印象を与えるホテルライクな共用廊下

SRC造の鉄骨とあと施工アンカーの干渉に対して短い埋め込み深さで高い剪断耐力と剛性を発揮できるディスクシアキーを採用することで施工性を向上させた。

既存耐力壁をモルタル補修し表しとした壁面やラワン合板建具など温かみのある内装とした賃貸居室内部

ハイサッシにて開放的な室内を可能にした賃貸居室内部

既存RC手摺を撤去し軽量なポリカーボネート製手摺とすることで軽量化による耐震性能向上と自然光を採り込む開放的な住空間を提供している