既存の講堂は築後47年を経過し、老朽化、耐震性能に問題を抱えていました(昭和42年竣工)。当初は「子育て支援特別対策事業幼稚園耐震化促進事業費補助金」の制度を利用して耐震補強を行う予定でしたが、新築したほうが補助額の割合が大きかったため、建替えを行うこととなりました。
幼稚園【kindergarten】の語源はドイツ語で【こどもの庭】の意味ですが、対象こども園は自然から学ぶことを非常に大切にしています。こども園からバスで15分程の所に10,000坪の里山「風の子むら」を有し里山保育を実施しています。本計画敷地内にも自然と触れ合えるように里山から樹木を移植したり小川、築山などを設けた「あそびの森」という園庭があります。本計画による講堂が「あそびの森」のすぐ横に新築される事によって、「あそびの森」が拡張し、敷地全体が【こどもの庭】となることを目指しました。
建物は鉄骨造平屋建てで、大きな一枚の屋根の下に四つのボリュームを配し、各ボリュームを外部デッキでつないだシンプルな空間構成です。各ボリュームは、講堂、こどもトイレ、大人トイレ、ジャングルジムとなっており、ジャングルジムは、屋上デッキにアクセスする動線であると同時に構造体として屋根を支える機能を担っています。骨組を構造体として用いるため座屈解析を行い、偏荷重に対しても十分な安全性を確保しています。
将来的には屋上デッキを建物北側まで拡幅して滑り台と階段を設ける予定です。より回遊性の高い屋上スペースとなり、更に「あそびの森」が拡張することを期待しています。