築50年のRC造既存校舎への躯体補修と新規プランを考慮した耐震補強により、構造部材、非構造部材ともに健全な建物へと再生し、改修後50年以上使える学校とする。
補強工事は、既設の耐震ブレースはそのまま活用し、居ながら施工で工事区分を棟ごとに分割することで騒音の影響を最小化する。
外壁は金属パネルなどの軽量で耐久性のある材料でカバーし、改修後の劣化抑制と災害への対策を図る。
1階中庭には、既存建物と連続する「ラーニングリビング」を増築することで、学校の中心となるリビング空間を形成するとともに、中庭の利用率を高め、拠点性を向上させる。これまでの校舎にはない広さとつながりを持った空間が、多様な個性の開花を導く、自ら学びを楽しめる教育環境となるだろう。ラーニングリビングの曲面を描く天井は、1階から屋上に至る緩やかな風の流れを生み、自然で効率的な換気システムを形成する。
1階に設ける教職員エリアは十分なスペースを確保し、働きやすい環境を整える。昇降口とグランド、ラーニングリビングが見渡せる配置で、セキュリティを確保しながら各エリアとの連携が図れる。
大胆な増築と既存校舎の価値と安全性を最大化する長寿命化手法により、主体的な学びを引き出す持続可能な学校づくりを目指す。