本計画は、昭和55年に建設された建物を対象に、耐震補強、設備更新および内外装の全面改修を行い、建物の長寿命化を図るリファイニング計画である。
既存建物は道路、通路に面する外壁に空調室外機、看板、看板用の照明、配管、竪樋、面格子といった様々なものが設置されており、雑然とした印象があった。そこで様々な店舗や用途を受け入れる冗長性と長く使っていくための使いやすさを考慮して、ミニマルな外観と更新が容易な設備インフラの再構築を行なった。水道、ガスメーター、電気引込、縦樋などの配管/配線類はすべて西側隣地側に集中させ、美観とメンテナンス性を向上させた。
本物件は既存建物の検査済証が確認できなかったため、ガイドライン調査による既存建物の法適合状況調査を実施した。その結果、道路斜線制限や日影規制等に不適合となっている箇所が確認された。また、既存の出入口、階段が道路ではない区有通路に接しており、建築基準法施行令128条、また東京都安全条例17条の避難経路が確保されていなかった。適法な避難経路を確保するため、道路として認定されている商店街側に新たな出入口、階段を設ける計画とした。このことにより大規模の模様替え(主要構造部である階段の過半の模様替え)よる確認申請を提出した。不適合を是正することで、確認済証および検査済証を取得した。あわせて、適切な躯体補修を実施するとともに、補修内容および履歴をすべて記録した「家歴書」を作成した。補修履歴を体系的に記録・管理することで、躯体の信頼性向上を図っている。
耐震改修にあたっては耐震診断を実施し、その結果を踏まえて耐震改修計画を策定した。具体的には、塔屋を撤去して建物の軽量化を図るとともに、耐震壁を増設することで、目標値である構造耐震判定指標値(Is値)0.6を上回る性能を確保した。
本計画については、第三者審査機関による耐震評定を受けており、耐震診断および耐震改修計画の妥当性が確認され、耐震評定書を取得している。