鉄筋コンクリート造 地上4階/地下1階
本計画は、昭和43年(1968年)に新築された築51年の共同住宅兼倉庫に耐震補強を施し、大規模の模様替え及び用途変更によって検査済証を再取得した計画である。初台地区で初期の鉄筋コンクリート造5層の建物で、高低差の敷地を活かして複雑に構成される平面計画が特徴となっていた。敷地内通路と階段がつくるノスタルジックな風景は映画人の心を掴み、ハリウッドや邦画の撮影ロケ地としてスクリーンに登場している。しかしながら築年数と共に修繕費用がかかることから当初建替えも検討したが、現行法の日影規制・高度地区規制などにより既存建物の大きさや形状及び面積を維持できないことから、建築主は事業性の高いリファイニングを選択した。
耐震診断によると耐震指標であるIs値が低く特にX方向(南北方向)の壁量が足りないことが判明した。敷地内に9mの高低差があるため構造計画が難しい物件である。L型平面の接合部でレベル差を有しおり平面構成でゾーニングに分けて3パターン×断面構成で分けて2パターン×X・Y方向で検討=合計12パターンの解析モデルでIs値0.6以上に引き上げる計画とし、耐震改修計画評定を取得した。
リファイニング工事を施して家歴書(補修履歴書)を残すため耐用年数調査の結果当建物は50年の使用が認められ、民間金融機関による長期融資が実現した。法的整理から民間金融機関による融資まで一貫した設計・施工監理を行い、引き渡し後、三井不動産レジデンシャルリースがサブリースしている。