北海道は、東京都渋谷区に保有する築50年超の職員住宅が建つ土地の有効活用を図る目的で、2016年2月に「旧初台公宅用地有効活用事業」の公募を行った。ストック活用・環境負荷低減の観点からリファイニング建築により再生し、業務提携を結んでいるミサワホームと共同提案を行い、2016年5月に事業者選定を受け、9月に北海道と基本協定を締結した。既存建物は宿舎として使用されており、全住戸は南面向きで、初台駅からほど近く好立地だが、間取り・設備の陳腐化や防犯性の低さが問題として挙げられた。また、現行の耐震基準に合致しておらず、耐震改修をおこなった。耐久性においては、コンクリートの耐用年数推定調査に基づき必要な改修を行うことで、改修時からの物理的な耐用年数を50年に設定し、躯体捕手をおこなった。
メンテナンス性を考慮し、縦配管は共用廊下とバルコニー側など可能な限り共用部から点検できる維持管理がしやすい設備配置とした。縦配管に不具合が発生した場合の対応やメンテナンスなどの維持管理が専有部に立ち入らずに行いやすい計画としている。また、あらゆる世代の入居者が便利に利用できるようにバリアフリー対策としてエレベーターを導入した。階段室型の既存建物にエレベーターと共用廊下の動線を付加することで片廊下型に間取りを変更した。建築的、収益的にバリューアップを図り、長期利用可能な賃貸物件として蘇らせ、引き渡し後、ミサワホーム不動産がサブリースしている。