鉄筋コンクリート造 地下2階 地上2階 塔屋1階
<リファイニング計画のポイント>
1. 遵法性の確保
本既存建築物は当初確認時及び竣工時に確認済証・検査済証が発行さ れており、適法性が確認されている。本計画では既存の事務所・礼拝 所から診療所(病床なし)へと用途を変更するが特殊建築物ではない診療所のため用途変更には該当しないため、改修後の遵法性の確保のために第三者機関による法適合調査を行うことで改修後の適法性を確保するものとした。
2. 耐震性の確保/ 躯体補修
本既存建物は昭和43年に確認済証を取得しており、現行の建築基準法の規定等に適合していない既存不適格建築物である。改修後の耐震性能を担保するために、改修後の自主的な耐震診断を行い 、耐震評定を取得する。今回の大規模改修に伴い既存耐震壁の開口部の位置等を変更するが、減った分の耐力については、新たに袖壁補強や増打補強を計画することで、既存の耐震性以上の耐震性を確保する ものとする。 (既存壁の解体は軽量化にも有効であり、耐震性の向上につながる) 合わせて、既存躯体の補修については、既存躯体補修仕様書により適切な補修を施すものとする。また、全数の補修履歴を残すことで、将来の改修に備えることと、しっかりと補修されたことを確認した。
3. 改修後の耐用年数の把握
改修後の残存耐用年数を把握するため、第三者機関にて耐用年数推定調査を行い、改修後50年以上の耐用年数があることを確認している。建物表面のみでなく、躯体補修、耐震補強、設備機器の一新、意匠の一新、法適合性の確保により築50年の建物が改修後も50年以上、安全・安心に使える資産となります。
4. 意匠/設備機器の一新
既存躯体以外の間仕切り、仕上げ、建具等は全て解体・撤去し、内外装を一新し、現行の建築基準法に適合した計画とする。バリアフリー対応のため建物内部に新たにEVを設置する。既存設備については全て解体・撤去し、新規に設備を設置し、現行の建築基準法に適合した計画とする。
<計画コンセプト>
1.暗くて外部に対して閉じていた既存建物を自然光、緑、風が感じられる開放的な建物に再生。
ワンフロアのテナントではなく、建物1棟をまるごと検診センターとすることは、四周が屋外なので外気に接しやすく、居室配置が自由に配置できることなどのメリットがある。光の入る明るく気持ちのよい待合をゾーンごとに分散配置し、多様な場を持った平面計画とした。建物を閉じている外壁を解体することで建物の軽量化と外部への開放性を同時に解決した。また、待合を分散させることで、密度を下げつつ、自然換気の行えるプランに計画した。感染症のリスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善できる。
2.仕上素材をゾーンごとに様々な空間になる
仕上素材をゾーンごとに使い分けることで様々な空間体験ができ、施設内を歩くことが楽しくなるような計画とする。4階建の建物なので、階移動の発生がデメリットとなるが、EV設置と「巡る楽しさ」を持った施設とすることでデメリットをメリットとして考える 。