鉄骨鉄筋コンクリート造 一部、鉄筋コンクリート造 地上10階
リファイニングという選択
昭和46年に新築された本建物は現行基準に対し耐震性能の不足という問題を抱えていた。解体して建替えると既存不適格の既存建物と同じボリュームを新築できずに事業性を確保できない。耐震改修を行うとしても凡庸な手法ではブレースで住戸の窓を塞いでしまい居住性能を損う恐れがある。オーナーは数社から提示されたこのような選択肢に苦慮した後にリファイニング建築をという手法を知り当社に依頼があった。この年代の建物に対しては耐震性能だけではなく居住性能、耐用年数、事業性等を含め総合的な価値を上げる設計手法が求められる。
また、新築や建替えと比較しCO2排出量72%減という研究結果により、カーボンニュートラルなリファイニング建築を体現した。
重量床遮音性能
築古建物の弱点である床遮音性能(重量床衝撃音)の向上に取り組んだ。既存のスラブ厚120mmに対して重量増となるコンクリート増打ち等は構造上できないため、主に天井裏に施工した軽量な粒状衝撃音低減材(フクビ化学工業製サイレントドロップ)による性能向上を計画した。施工前後で測定試験を行い既存建物と比較して約1~2ランクの遮音等級の向上が認められた。(施工前測定:LH-65~60、施工後測定:LH-55~50)